ガスレビューコラム



2025.02.24
半導体デバイスに欠かせない産業ガスの機能と役割
スマートフォンをはじめとするデジタル機器に使われている半導体デバイス。
もはや半導体無しの生活は考えられない時代となったが、実は半導体の製造には産業ガスは欠かせず、ガス無くしては、今日のデジタル社会はあり得ないといえるほどである。
半導体と産業ガスの関りについて紹介しよう。
ガス自体が半導体の材料となる
では、何故、半導体電子回路形成にガス体の材料を使うのだろうか?
それは、半導体デバイスを効率的かつ大量に生産するのに最適だからだ。
シリコン基板上で均一に材料を拡散させ、反応させるには固体や液体よりもガス体の方が効果的だからである。
半導体プロセス反応は基本的に熱化学反応であり、気体の方が活性度は高くなる。
デバイスの単位面積当たりのコストアップを抑えながら性能向上を図るため微細化による大量生産を繰り返してきた半導体プロセスは、材料がガス体であったから実現されたといえる。
半導体デバイスが、世代交代していく過程においては、新たなガス利用技術も開発され、デバイスのバージョンアップを支えてきた。
スマートフォンをはじめ、デジタル製品が機能向上を果たしてきた背景には、産業ガスの貢献も少なくないのである。
最先端の半導体デバイスでは、微細化・高集積化が限界点に近づいており、積層化、3次元化に向かっている。
ここでは、使われる材料もガス体のものだけでなく液体のものも出てきている。
もっとも、液体といってもチャンバー内でプロセスが行われる際には、ガス体になって反応が進む。
ガス利用技術が基礎になっていることは変わらない。
40年以上に及ぶ半導体生産で培われたガスコントール技術が、現在の半導体産業を支え、それは今後も変わることなく続いていくことが予想される。
不活性な窒素ガスが半導体の品質安定と安全な製造に貢献
微細な電子回路を形成する半導体前工程は、極限的なクリーンな環境で行われる。
このクリーンな環境を実現しているのが、超高純度窒素ガスである。
超高純度窒素は、各製造プロセスへのガス体材料のキャリアガスや酸化防止などの品質安定に使われる他、プロセスパージや防爆など可燃性ガスの安全な利用にも、欠かせないガスである。
半導体工場内には高純度窒素ガス配管が引かれ、構内の様々なところで利用されている。
半導体工場の周辺には高純度窒素ガス供給のための窒素ガス製造工場が設置され、ガス配管を通じて、工場内にガス供給を行っている。
産業ガスの姿はスマートフォンやパソコンを分解しても見つけることはできない。
最終製品の中に明確な痕跡を残さない存在であるけれども、ガスの機能がデジタル社会を支えているのである。