【700～800号の工業ガス業界の記憶】リーマン・大震災・円高の度重なる逆風に晒された4年間

ガスレビュー700号（2010年7月15日号）～800号（2014年9月15日号）までの4年間の日本の工業ガス市場は、リーマンショック後の景気低迷、円高進行による製造業の海外移転、大型液晶パネルなどエレクトロニクス産業の停滞、東日本大震災による被災と原発事故による電力コストアップといった多くの逆風に晒された時期である。
日本経済にとっても戦後これだけの災禍を一時に受けたことはなく、まさに危機的な転換点であったといえる。
その余波はいまだすべてが収束したわけではないが、800号の節目に怒涛の4年間を振り返る。

【800号記念インタビュー】不可視な時代をいかに見通すか

「原点回帰の時、シリンダー1本からのシーズ探索」　
大陽日酸　代表取締役副社長　産業ガス事業本部長　丸山忠重氏

「地域ディーラーとの生産協業に活路」　　　　　
エア・ウォーター　常務取締役　産業カンパニー長　松原幸男氏

「液水・ヘリウムを軸に展開」　
岩谷産業　専務取締役　産業ガス・機械事業本部長　牧瀬雅美氏

「工業ガス事業を次の世代に受け継ぐための施策を着実に実施していく」
日本エア・リキード　専務執行役員　工業事業本部長　松村敬介氏

【エネルギー】エア・ウォーター、中国電力と発電事業実施

山口県防府市に約10万kWの石炭・バイオマス混焼発電所建設、電力自家調達モデル始動

エア・ウォーター（青木弘会長）は、中国電力（苅田知英社長）と共同で石炭・バイオマス混焼発電所（出力約10万kW）を山口県防府市に建設、発電事業に乗り出す。2018年度の運転開始を目指し、9月3日山口県の環境影響評価に向けた準備に入った。

【水素エネルギー】岩谷産業、都心部に水素ステーション建設

東京タワー近郊に液水オフサイト型／トヨタグループから土地を賃借

岩谷産業（野村雅男社長）は、トヨタグループの協力を得て東京都心部に水素ステーションを建設する。場所は港区芝公園4-6-15で近くに東京タワーを臨む幹線道路の三叉路。本年9月より建設を開始し、15年3月の完工を予定している。建設には14年度二次公募の国家補助を活用、総額4～5億円といわれる建設費のうち、2．8億円の補助を受ける。ステーション用地は、トヨタグループ100％子会社で都内の直営販売店の統括会社であるトヨタアドミニスタが所有しており、岩谷産業が賃借し、ステーションの建設及び運営を行うことになっている。

【地域市場再発見・九州　その①】秋晴れ向かう中・南九州ガス溶材市場

建設、造船、半導体、三位一体の復活。農業用でも炭酸ガス需要

例年にない天候不順により、今夏は記録的な雨量を観測、8月の日照時間も西日本で最小となり、広島をはじめ大きな被害も生んだ。8月末1週間の九州の取材でも曇り空が覆い、雨に当たらない日は1日もなかった。しかしこの曇り空を吹く飛ばすかの如く、九州地域の市況観測は「回復基調にある」と域内工業ガスディ―ラーは口を揃えた。