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No.803号
2014.11.01発行
ガスレビュー No.803号(2014年11月01日)

【特報】ガスで輝いた青色LED
ノーベル物理学賞
赤崎氏、天野氏、中村氏、3氏ともガスと密接な関係に
14年ノーベル物理学賞受賞のLED製造プロセス開発の傍らには常に工業ガスの存在があった。
赤崎氏を頂点に名古屋大学、名古屋工業大学、名城大学は窒化ガリウム化合物半導体研究開発の世界的なメッカで、この3大学には大陽日酸が製造したMOCVD装置が設置されている。
89年名古屋大学で赤崎氏が教授、天野氏が助手として共同で高品質の窒化ガリウム結晶を成長させ、青色LEDを世界で初めて光らせた。窒化ガリウムにマグネシウムを混合する方法は中村氏もとりえている。
これを成功に導いた大きな要因のひとつがMOCVD装置であったことは間違いない。
今回の青色LEDによるノーベル物理学賞は、結果的に赤崎、天野、中村の3氏による三位一体が生み出したものであり、ガス、MOCVD、ガス供給設備も三位一体で支えたといえるだろう。
【地域市場再発見・近畿】三本の矢では足らぬ近畿ガス市場
顕在化するガスの伸び悩みと人手不足
事業再構築に走る域内ガス企業
2014年7月、ユニバーサルスタジオジャパンが新アトラクションを設け、滑り出しは好調とあって、近畿の消費経済の押し上げ効果が出た。しかし、それが製造業を含む経済全般に波及するかとなるとそう単純ではない。エレクトロニクスのリストラに加え、自動車や鉄鋼、造船といった大型の基幹産業の決め手に乏しく、中小企業の密集に頼らざるを得ない近畿の複雑な産業構造全体を上昇させるまでには及ばないのである。今回の地域特集取材を通してガス企業各社の業績を訊くにつれ、どうやらその〝魔法〟は域内ガス企業には届いていない事も判明した。建機や板金加工等、一部の業種で好調な分野があるものの、大きく業績を伸ばしたガス企業は無く、むしろ今後の大型設備投資案件の乏しさを理由に、先行きへの不安を述べる声が多く聞かれた。やはりガスビジネスの観点から言えば、魔法に頼らず人の地道な努力で改善していくしか無いらしい。地域ガス企業各社が近畿地域の今をどのように捉え、何を成そうとしているのか。その現場を詳報する。
【市場動向】特殊材料ガス前線異常アリ
三弗化窒素、塩化水素、世界的供給タイト
ガス価格下落でメーカーの収益悪化、設備投資に回せず
特殊材料ガスは三弗化窒素、塩化水素など一部のガスで供給タイト状況に陥っている。 要因は韓国、台湾、日本、中国の半導体、液晶の生産が増加していることもあるが、ここ数年のユーザーからの継続的な値下げ要請とメーカー間の競争激化によりガスメーカーの収益が悪化、製造設備や容器などの再投資が出来ないことが最大要因である。特殊材料ガス市場は目まぐるしく状況が変化しており、半導体や液晶がいきなり減産することもあり得る。ガスメーカーとしては収益改善を目的に価格是正が必要不可欠である。
【小型窒素PSA】複雑に精緻を極める省エネ・コンパクト化技術
発生量に応じて圧縮機とPSAを運転制御、装置サイズは10年間でおよそ半分へ
省エネやコンパクト、低騒音などをテーマに小型窒素PSAがここ10数年で大きな技術進化を遂げている。2000年以降に顕著となった圧縮機のレシプロ式からスクロール式への変更を皮切りに、タッチパネルの採用、吸着剤増量による圧縮機のサイズダウンなど特色ある製品を各社が次々と投入。近年はPSAと圧縮機の連動性を高めることで、吸着時間の可変やPSA・圧縮機の複数ユニット運転を省エネにつなげる技術が製品化されている。これらの技術進化はメーカー間の活発な開発競争が促したのは紛れもない事実だが、71年の独ベルグバウ・フォーシュンクの市販開始以来、すでに40年以上の歴史を有する窒素PSA技術が現代において未だに飛躍を遂げている点は注目に値する。精緻かつ複雑なシステムで省エネする最先端のPSA技術を解説する。
【国内市場】公取委、エア・ウォーターへのエアセパガス価格カルテル課徴金納付の一部を取消す審決
エア・ウォーターに対し課徴金の一部及び加算金として33億296万円を支払(10月15日)
本誌No802号既報のようにエア・ウォーターは、去る9月26日、公取委によるエアセパガス価格カルテル課徴金算定を不服とした審決取消訴訟に勝訴していたが、10月14日、公取委は、エア・ウォーター側の訴えを実質的に認める審決を行った。これにより、公取委はエア・ウォーターからの課徴金納付額、36億3911万円のうち、7億2782万円を超えた部分、29億1129万円を取り消した。翌15日には、同取消分に加算金(利息)を加えたと33億296万6100円をエア・ウォーターに支払った。2011年7月月22日から始まった算定基準を巡る攻防は、足掛け3年を掛けてエア・ウォーター側に軍配が上がったことになる。
ガスレビュー目次
時事コラム
21
・アマダ、ファイバーレーザ加工機を日本国際工作機械見本市に出展
・アズビル、過流流量計でTHS防爆認定取得
・大陽日酸、米国政府系研究機関にMOCVD納入
・サイサン、ベトナム大手LPガス企業の経営権取得
分析計
23
・八洲貿易、ガスクロ代替赤外線吸光ガス分析計提案
新社長インタビュー
24
・「AWグループとの相乗効果で成長してきたこの企業体を維持し、揺らぐことない100年企業に」
エア・ウォーター防災 青田良一社長
技術レビュー
25
・岩谷産業、炭酸カルシウムとフッ化水素ガスから世界で初めて高純度人工蛍石合成技術確立
地域市場再発見・北海道
27
・機材先行で回復感鮮明な北海道工業ガス市場
流通回路
31
・農業資材EXPOに大陽日酸ガス&ウエルディング、イワタニアグリグリーンらが出展
・サーモス新製品
・岩谷産業、カセットコンロ新製品
・大陽日酸キッズ理科教室開催
・前川製作所、空気冷媒の冷凍システム「パスカルエア」韓国鮪冷蔵倉庫向けに納入
・高圧ガス保安大会、経済産業大臣、高圧ガス保安協会会長表彰受賞者
DATA
33
・2014年第2四半期世界半導体製造装置出荷額
最新工業ガス関連株式市況
33
ガスレビュー指標
34
・関連機器編
海外市場
35
・リンデとダイムラー、独で水素ST13基新設
・エアプロダクツ、カリフォルニア水素ネットワークに装置とガス供給
・プラックスエア、ガス値上げ
・ラスガス、ヘリウムⅢプロジェクト入札条件提示
訃報
36
・ダイヘン元取締役会長、柳生勝氏お別れの会

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