【市場分析】適産適価を模索する圧縮水素

様々なコストアップ要因が背景に

長らく低迷が続いた工業用の圧縮水素もようやく底を打った感が出ている。しかし再び成長に向かうかと言えば、その可能性はかなり低い。
国内製造業が設備投資と増産を繰り返す場所は新興国へ移っており、工業用の圧水市場に伸び代が少ないというのは業界共通の認識である。
こうした見通しの下、市場では原料ソースの縮小や電力コストの上昇、岩谷産業による液体水素（液水）の攻勢などが複雑に絡み合っている。トヨタのミライが走り出し、世間では「水素社会の到来」が話題になっているが、圧水事業者はこれとは一線を画し、市場に合わせた供給力の適正化と価格の見直しを着々と進めている。

【ベトナムレポート】ベトナム南部の電炉銀座で対座した大陽日酸とエア・ウォーター

欧州ガスメジャーとの競争区

　ベトナム・ホーチミン市では公共投資の整備や国営企業の改善など新たに6.5～7％の成長を目指す経済構造再構築策を実施中で、活気に満ちている。人口は9千万人を突破し、20年には1億人を超えるのは必至。3千万人といわれるオートバイ〝人口〟が昼夜を問わず疾走し続けている。
　そのホーチミン市から南東に約70～80km、南シナ海に面してというよりメコン川河口に程近いバリア・ブンタウ省にあるフーミー工業団地は、5年前からベトナム資本、外資入り混じって大手電炉メーカーが揃って工場進出、さながら電炉銀座の様を呈した。高炉や半導体の大工場がほとんどないベトナム南部における最大のガス消費者である電炉を巡るガス争奪戦こそが、ガスビジネスの主導権とシェアを左右するといっても過言ではない。

【焦点】「再び〝闘う集団〟へ」
岩谷産業 産業ガス・機械事業本部長 廣田博清専務取締役

原点に還り、市場で行動。営業力を再強化

　本年4月1日、新たに岩谷産業、産業ガス・機械事業本部長に就任した廣田博清専務は、入社以来20年余り産業ガス畑一筋に歩み、その後社長室や管理本部の管掌を歴任、この度15年振りに出身部隊に戻り、産業ガス・機械事業のトップとなった。水素エネルギーをはじめとする同社の産業ガス事業の舵取りをどのように考えているのか、聞いてみた。

【ガスアプリケーション】YKK APもガス入りLow-E複層ガラス事業強化

最大25万6千㎥のアルゴン・クリプトン需要

　窓を中心に住宅設備を手掛けるYKK APは、樹脂フレームとガス入り複層ガラスを組み合わせた窓ブランド「APW」シリーズを展開している。昨年より2枚組・3枚組複層ガラス計3製品でガス封入モデルを展開、このうち3枚組のトリプルガラス2製品は14年度販売計画の1.5倍の売れ行きであったとする。
　ガス入りLow‐E複層ガラスについては旭硝子、セントラル硝子、日本板硝子のガラス3社が生産しているのは何度か本誌でも紹介しているが、ここに来て窓メーカーも力を入れてきた。

【トップインタビュー】「狩猟型のソリューション営業部を立ち上げ」
東京ガスケミカル 田嶋義明社長

　田嶋社長は「4月でちょうど一年経ちました。産業ガスは初めての経験でしたが、その間、大陽日酸の於㔟好之輔名誉相談役、田口博取締役相談役やエア・ウォーターの豊田昌洋副会長など業界に尽力を尽くされた方々から色々助言をいただきました」とした上で「あっという間の一年だったというのが正直なところです」と感想を述べた。

【HOT ASIA PRESS】岩谷産業、ミャンマーで工業ガス事業展開

ガスメーカーとして初進出

　岩谷産業は、ミャンマーに海外のガスメーカーとして初めて進出、首都ヤンゴン郊外の現地日系工業団地内でエアセパレートガス製造とガス関連機器、LPガス販売事業を手掛ける。本年8月に100％出資の現地法人を立ち上げ、2018年3月の事業開始に向け準備に入る予定だ。