【国内市場】新国立競技場建設計画撤回で真夏の夜の夢

キール構造の建設は難工事必至だった

　7月17日に総工費2520億円の計画が白紙撤回された新国立競技場建設計画は大幅な工事削減の方向で計画を見直すこととなった。2020年の東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる千駄ヶ谷の予定地では新スタジアム建設のため旧施設の取壊しが終わり、整地作業が進められている。大型投資案件の出現に期待するガス・溶材販売界関係者にとって450tとされる溶材需要の消滅にため息を漏らすしかなかった。

【市場動向】ネオンが直面するウクライナ危機

6月、輸入量激減

　ウクライナの政情不安を背景に昨秋から調達不安と市況硬調が続いていたネオンだが、この5月に起こった〝ある事件〞を境に価格が5～20倍へ急騰する異常事態が発生している。
　ある事件とは韓国サムスン電子が工業ガス業者を通さず、直接ウクライナのレアガスメーカー・アイスブリックからネオンの大量買付けを行ったというもの。アイスブリックは月産1400万ℓのネオンを生産しているが、サムスンはその半分の700万ℓを「爆買い」したという。その後、台湾TSMCも同様の爆買いを実施。この煽りを受け世界的ガスメジャーが5月の契約引き取り分を急遽キャンセルされたという話もある。いずれも確認の取れない情報だ。
　しかしこれを機に我国のネオン調達事情が一変したのは事実だ。日本エア・リキード、巴商会、東京ガスケミカルの主要サプライヤー3社は6月から顧客訪問や書面通知を開始。今後ネオン調達が一層困難になる旨を説明するとともに、国際市況に合わせた納入価格の改定や不測時の割当供給に対する協力を要請している。

【市場分析】14年ヘリウムリークディテクタ市場、前年16％増の21億75百万円

　14年暦年のヘリウムリークディテクタ市場は、日本真空工業会統計によると台数0.8％減とほぼ横ばい推移したものの、売上面で前年比16・0％の大幅増となった。この背景には自動車部品メーカーのライン用大型装置の更新需要があり、同メーカーに多数実績を付けた企業の業績が上向いた事が理由とみられる。
　この結果について、メーカー各社でも14年統計の大幅な売上増に対してはやや懐疑的であり、中には「工業会への報告は『周辺機器を含めるか否か』『どこまでを海外販売とするのか』等、各社の基準で数字を決定している為、その基準が変われば数字も変わるのでは」等とする意見も聞かれた。しかし細かく各社の14年動向を訊くと、決して業績が低空飛行をした訳では無く、自動車業界の旺盛な設備投資に牽引され、比較的好調だった模様である。

【技術レビュー】鉄道総研、超電導フライホイール蓄電システムを開発

再生可能エネルギーとの組合せを視野に

　鉄道総合技術研究所（以下鉄道総研）は、古河電気工業らと共に超電導技術を用いたフライホイール蓄電システムを開発し、8月より山梨県米倉山にある太陽光発電所で実証試験を開始した。
　フライホイール蓄電システムの構造は、円盤（フライホイール）を高速回転させることで電力を運動エネルギーとして蓄え、回転力を再び電力に変換するシステムで、フライホイールの重量や回転数が増すほど大きなエネルギーを蓄えることができる原理である。
　今回開発したシステムは、重量が4tあるフライホイールを、超電導磁石の磁気によって非接触で浮かすことで回転抵抗を減らし、大容量の電力を貯蔵し、必要に応じて電力を供給することができるというもの。太陽光発電や風力発電など出力が不安定な発電システムと組合すことで、電力の安定供給を目的とした用途でも期待がかかる。