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No.834号

2016.02.15発行

ガスレビュー No.834号(2016年02月15日)

【ロジスティックス】物流合理化に対策講じる工業ガス業界

LI搭載ローリー、7年で2.3倍に

 日本の産業界を支える物流業界は若年ドライバー不足に苛まれ、コンプライアンス強化や安全対策など厳しさを増している。工業ガス事業も物流なしでは成り立たない業界であり、物流事業者とともに荷主となる工業ガス企業でも、輸送効率の向上といった対策に恒常的に取り組んできた。
 具体的にはLI(ロード・インディケーター)と呼ばれるローリー搭載型重量計の導入による輸送時間の短縮化であり、メーカーである矢崎エナジーシステムによると、ここ7年あまりの間にLI搭載ローリー車両台数は、2.3倍の1200台に拡大しているという。エア・ウォーターの小型液プラント、VSU活用によるローリー輸送距離削減も地道な努力ながら成果を上げている。
 若者のクルマ離れや免許要件の変更など、ドライバー不足は産業構造全体に関わる問題で、工業ガス業界だけで解決できる類のものではないが、ハード面や輸送計画など、あの手この手の対策を講じているところだ。

【MIP・VIP】「国内基盤の強化なくして海外なし」
エア・ウォーター 豊田昌洋 会長

人材育成も構想

 豊田会長ほどエア・ウォーターの海外事業の必要性を理解している人物は恐らくいないのではないか。人生を賭け、国内ガス事業の可能性と成長を追求した結果、国内集中の限界も熟知しているからである。一方で豊田会長の海外ビジネスへの考察は実に厳しい。
 「海外での成長を目指すべきだというのは確かに正しい。しかし、ことガスビジネスに限り、東南アジアで日本のような重層的ビジネスモデルを構想するのはいかがなものか。ガス利用の高度化社会の発展に連動している。今後、これら諸国の社会がどれくらい発展するのか注視しておく必要がある。場合によっては過度の期待を託すべきではない」
 海外を強化しようと思えば国内基盤をさらに充実させねばならない。すでにVSUの全国的なパートナーシップ運動を展開しているが、今年は更に強化していく。
 「北から南まで地域社会を見てみると、メーカーとディーラーの縦割り社会で捉えるべきでない。事業に必要な人、金、技術を持ち寄り共有する。ともにマーケットを守り創っていく平等精神が良い」

【市場動向】化学物質のリスクアセスメント、6月1日から施行開始

VOC計測が重要になる

 労働安全衛生法(労安法)が改正され、今年6月1日から一定の危険有害性のある640物質に対して事業場でのリスクアセスメント(RA)が義務付けられた。RAは、対象となる化学物質やその製剤の持つ危険性や有害性を特定し、労働者への危険または健康被害を生じるおそれの程度を見積もり、リスクの低減対策を検討することを指している。
 今回(14年6月)の改正では実施義務は今年6月1日以降、対象化学物質を原材料などとして新規に採用した場合や変更する場合、作業方法や作業手順を新たに採用、変更した場合などとしている。遡って実施はしない。なお、640物質の中には特化則、有機則などで既に規制対象の物質が116ある。それが一気に640まで増えたのである。
 ちなみに高圧ガスでは、アンモニア、一酸化炭素、一酸化窒素、一酸化二窒素、塩化水素、塩素、オゾン、ゲルマン、三弗化ホウ素、三弗化塩素、四塩化炭素、臭化水素、シラン、TEOS、二硫化硫黄、ブタン、弗素、硫化水素などが対象となっている。

【国内市場】東京ガス、4月1日付で子会社株式を新会社に移管

グループの液化ガス・LNG冷熱事業でのシナジーに期待

 東京ガスは1月29日、本年4月1日に工業ガスの製造・販売及びLPガス販売子会社の株式を新設する持ち株会社に統合すると発表した。新会社の名称は「東京ガスリキッドホールディングス」で、LPガス販売の東京ガスエネルギー、LNG冷熱を使った産業ガス製造・販売の東京ガスケミカル、同じくLNG冷熱を使った冷凍・冷蔵倉庫業の日本超低温の3社の東京ガス持ち分株式を統合する。具体的な3社の役割分担と事業構造の変更については、今後決定していくとしている。

【焦点】三井造船との資本業務提携でグローバル展開強化
加地テック 中澤敬社長

水素ステーション向け圧縮機実績も伸長

 レシプロ型圧縮機メーカーである加地テックは、16年3月期業績予想を、水素ステーション向け超高圧水素圧縮機が着実に伸びていることを受け、売上高対前年比23.1%増の55億円、経常利益同342.5%増の5億円と大幅な増収増益を見込んでいる。中期経営計画(14~16年度)で16年度売上高60億円を目標に掲げる同社であるが、「目標到達には海外比率を更に押し上げる必要がある」と中澤社長はビジョンを描く。
 同社は昨年、丸紅が持つ加地テックの普通株式を大型圧縮機に強みを持つ三井造船が取得、圧縮機事業で資本業務提携を結んだ。それまで中澤社長は三井造船の回転機製品群の統括を務めていたが、昨年6月25日付で加地テック代表取締役社長に就任することとなった。両社の業務提携は、加地テックが得意とする数百kWクラスの中小型圧縮機事業と、三井造船が扱う数千kWクラスの大型圧縮機事業とで販売や研究開発体制を補完し合い、事業拡大を図る狙いがある。また、三井造船が持つ海外販売におけるネットワークを活用し更なるグローバル展開を視野に入れる。

ガスレビュー目次

時事コラム

11

・昭和電工、BCl3製造能力増強
・ダイヘン、「ロボット溶接品質管理システム」溶接不良検出機能強化
・ハネウェルジャパン、HFOガス使用の現場吹付用断熱材がJIS規格化
・岩谷産業、ヘリウムコンテナーにGPS装備

水素エネルギー

14

・日本エア・リキード、佐賀市に単独運営初となる水素ステーション建設
・神戸市と川崎重工、褐炭由来輸入液化水素用地受け入れで合意
・岩谷産業、関西国際空港に水素ステーション開設
・水素先端フォーラム2016、九州大で開催

技術レビュー

17

・大陽日酸、カーボンナノチューブ-SAT複合導体電線開発

分析機器

18

・ミッシェルジャパン、米AII社と総代理店契約

流通回路

19

・ネクスト・ワン、「年間キャンペーン感謝の集い」開催
・伊賀産業、15年フロンガス破壊ビジネス好調
・国際ナノテクノロジー総合展などにガス関連企業多数出展
・全溶連、第2回評議員会開催
・低温工学・超電導学会関西支部、15年度第4回講演会開催
・太陽光発電協会新春交流会開催

DATA

21

・15年CE生産実績

最新工業ガス関連株式市況

21

ガスレビュー指標

22

・ガス編

トピックス

23

・MHIマリンエンジニアリング、気球空撮システム50社以上に販売

米国ヘリウム事情最前線

24

・米国ヘリウム販売量、前年横ばいの1億㎥

海外市場

24

・大陽日酸、米脱硫精製剤メーカーに出資
・リンデ、東シベリアガス田プロジェクトで新契約締結

HOT ASIA PRESS

25

・エア・リキード、内モンゴルに化学品製造向けASU建設
・エアプロダクツ、中国で石炭化学向け大型ASU4基稼動
・韓国暁星、中国浙江省にNF3新工場建設

第3四半期決算

26

・大陽日酸
・住友精化
・ダイヘン

2016年新春トップメッセージ②

28

・各地で催された新年賀詞交歓会で業界トップが語った年頭所感

組織人事

29

・エアープロダクツジャパン、工業ガス事業を新会社「日本エアープロダクツ」に移管
・小池酸素工業、大阪市城東区の土地を譲渡
・フジキン、ベトナム・ホーチミンに事務所開設
・住友精化、人事異動

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