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No.836号

2016.03.15発行

ガスレビュー No.836号(2016年03月15日)

【市場分析】世界最大の特殊材料ガス供給拠点「ニッポン」

混合ガスからピュアガスへ

 日本は世界最大の特殊材料ガス供給拠点である。ガス種の豊富さからガス供給サプライヤー数でも群を抜いていた存在である。これは1990年代半ばから続くものである。但し、90年代は国内需要向けが中心だったが、今は6割が海外向けである。
 供給方式もシリンダー供給オンリーからISOモジュールを代表とする大型容器供給がNF3など一部の特殊材料ガスでは標準になっている。そして混合ガスからピュアガス(100%生ガス)へ大きくシフトした。サプライヤーも購買制度も変化した。
 変化し続ける我国の特殊材料ガスメーカーの実状に焦点を当てることにした。

【医療ガス関連市場】平成28年度診療報酬改定

重症心不全患者の睡眠時無呼吸療法のASV療法、ハイフローセラピーが新設

 厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会は2月10日、厚生労働大臣に対し、平成28年度の診療報酬の改定について答申、4月以降の新たな診療報酬を示した。
 医療ガス関連では、在宅酸素療法およびCPAP療法について改定が見られ、それぞれ医師の診療に関する評価と材料費に関する評価を分けた上で、医師の判断に基づき患者が受診しない月を含め、1回の受診で最大3カ月分まで使用する機器の費用を評価した加算を算定できることとした。このうち在宅酸素療法では「在宅酸素療法材料加算(3カ月に3回)」が、CPAP療法ではASV療法に対する評価が新たに追加された。
 在宅呼吸療法の機器加算のうち、現在2カ月に2回算定可能とされている酸素ボンベ加算、酸素濃縮装置加算、液体酸素装置加算、呼吸同調式デマンドバルブ加算については、3カ月に3回算定が可能となった。このほか、ハイフローセラピーに関しても加算が新設された。

【医療ガス関連市場】心肺停止後患者に対する水素ガス吸入療法、複数病院で臨床研究はじまる

正確な評価のための二重盲検法

 病院外で心肺停止となり、蘇生した患者に対し、水素ガスを吸わせる「水素ガス吸入療法」の臨床研究が全国10以上の病院でスタートする。
 本誌は12年に心肺停止蘇生後に水素ガスを吸うことにより、脳機能や心筋組織へのダメージを軽減できるという慶應義塾大病院救急科と循環器内科がラットなどで行った研究を紹介したが(No..756)、今回はそれを実際の患者で、複数の病院で行う多施設介入研究となる。全国12カ所(2月現在)の病院で、心肺停止後に蘇生した患者に2%の水素添加酸素を18時間吸わせ、その予後を調べるというもの。実施期間は2年間、目標症例数360という。
 せっかくAEDで救った命を、なんとか良好な社会復帰につなげたいと、同研究の成功を目指し、尽力する慶應義塾大学病院救急医学教室の鈴木昌専任講師に臨床研究の詳細と見通しを訊いた。

【医療ガス関連市場】堀井薬品工業(大阪)、大腸がんCT検査用自動炭酸ガス送気装置好調

 医薬品製造・販売事業を手掛ける堀井薬品工業(堀井正憲社長、大阪府大阪市)が取り扱う大腸CT検査専用自動炭酸ガス送気装置「エニマCO2」(製造販売元:九州クリエートメディック)の販売が好調だ。13年4月の販売開始以来、販売台数実績は毎年右肩上がりとなっている。最近では開業医やCT機器のみを保有する診療所や循環器系の病院などからの引き合いも増加している。

【ニューアプリケーション】フォーム(名古屋)、大型人工炭酸泉製造装置で累計250台以上の販売実績

大型浴槽1カ所あたり月間2~5tの炭酸ガス需要

 名古屋の医療用器具・機器商社、フォーム(田内貢士郎社長)は、2007年から販売している業務用人工炭酸泉製造装置「カーボリッチ」の累計販売台数が250台を突破した。
 同社は愛知、岐阜、三重など東海圏を中心にカテーテルや内視鏡関連製品、MRIなど医療用器具・機器を販売する商社である。当初病院など医療機関に足湯用の小型炭酸泉製造装置の販売を開始したのを皮切りに自社製品の開発にも着手、07年には炭酸泉事業部を立ち上げた。
 同社の人工炭酸泉製造装置はいずれも、ポンプで汲み上げた湯に炭酸ガスを溶解させ、炭酸泉を製造するもの。4機種のラインナップで容積3.5t~40tクラスの浴槽まで対応可能な大型機「カーボリッチ」と、介護施設用に特化した容積2tクラスまでの浴槽向け中型機「カーボリッチミニ」の2製品を展開、温浴施設、スポーツ施設、介護施設などに販売している。「カーボリッチ」に関してはすでに国内外で250台以上を納入しており、今後は自社開発の水素発生剤とセット販売する「炭酸水素風呂」としての拡販にも乗り出す考えだ。

【地域市場再発見 岡山・広島・山口】地場ブランド強化で成熟市場に漕ぎ出す域内ガス関連企業

成熟期ならではの営業スタイル展開

 2016年を迎えた瀬戸内3県(岡山・広島・山口)の工業ガス関連市場は、補助金を利用した機器・設備販売によって前年水準を維持しつつも、ガス及び消耗品の減少トレンドが続いている。16年度は、鉄骨・機械など一部業界で明るい材料も出てきており、前年横ばいを予想する域内企業が多いが、市場縮小に伴う将来への危機感は増している。これまで以上に調達力や事業継続に磨きをかけた企業ブランドの強化が求められるようになってきている。
 瀬戸内海に沿って、港湾都市に設置された鉄鋼・化学コンビナート、造船業といった重厚長大産業を基幹に市場構成されるのが同地区の特長である。マツダ、三菱自工の自動車、マイクロンが筆頭のエレクトロニクス(半導体前工程)、医薬品、食品まであらゆる工業ガス利用分野の産業が配置されている市場でもある。平野部が少なく古くから海上交通の要衝として栄えてきた経緯もあり、港町ごとに市場が形成され、それぞれの町にガス充填所や販売店によるサプライチェーンが構築されている。エリアは広いが、独立性は高い。

ガスレビュー目次

国内市場

9

・パナソニック溶接システム、「2016パナソニックロード」スタート
・久喜製作所、15年ボンベ運搬車4100台販売
・亜酸化窒素、指定薬物入り 「シバガス」規制が目的

時事コラム

11

・RITE、平成27年度ALPS国際シンポジウム開催
・日本液炭、気化時1MPa未満の炭酸ガス気化器発売
・ヒ―バック&アールで冷媒主要4社がセミナー開催

低温機器インタビュー

15

・「LNGと中国の失速は工業ガスを見つめ直す良い動機になる」
チャート・インダストリーズD&Sグループ トム・キャリー社長

流通回路

23

・ハマイ12月期決算、社長交替
・神奈川県、第3回水素・燃料電池関連製品等開発促進セミナー開催
・指定検査機関連絡協議会、保安検査技術研修会開催
・タキゲン製造、メディカル・ジャパン2016に医療用ボンベ運搬製品出展
・三幸医療酸素、7ℓ動物用酸素濃縮器半年で20台販売

水素エネルギー

25

・岩谷産業、甲府に水素ステーション開設
・イワタニ水素エネルギーフォーラム東京開催

DATA

27

・2015年ヘリウム輸入量

最新工業ガス関連株式市況

27

ガスレビュー指標

28

・ガス編

第3四半期決算

29

・高圧ガス工業
・小池酸素工業
・長野計器
・星医療酸器

組織人事

31

・東京ガスケミカル、社長交替
・伊藤忠工業ガス、社長交替
・日本エア・リキード、社長交替
・大陽日酸 
・リキッドガス、社名変更
・大丸エナウィン 
・岩谷瓦斯

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