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No.839号
2016.05.01発行
ガスレビュー No.839号(2016年05月01日)

【震災速報】熊本地震:頻発する余震の中、安否確認、ガス供給体制の整備進める
物流網の確保が課題に
4月14日21時26分頃、熊本県益城町で震度7、16日1時25分頃の熊本市内の最大震度6強を頂点に震度5クラスの余震が頻発している熊本地震では、4月20日現在、地元ガスディーラー、メーカーともに従業員の安否確認、ガス供給体制の整備に追われている。
14日以降の震度1以上の地震の発生回数は600回を超えるという余震の多さが本震災の特長だが、家屋の倒壊やライフラインが寸断される中、各ディーラーともまずは従業員の安否確認を急いだ。
【特集・ガスと農業】ようやく分かり始めた炭酸ガス施用の本当の効果
活気付くガス・発生装置ビジネス
農業で利用する炭酸ガスが近年、飛躍的な伸びを見せるようになった。統計はないものの、ここ5年の需要量は年率10~20%のプラス成長で推移しているようだ。
これはトマト・いちごなどの栽培において「炭酸ガス施用」の効果、すなわち収穫の増量がようやく認められるようになったからだ。ハダニ防虫における「炭酸ガス燻蒸」という新用途の出現も見逃せない需要拡大の一因である。
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を背景とした農業の強化や国産農産物の輸出促進、大規模農家の育成など、農業に関わるテーマは尽きず、政府によるてこ入れは今後も続きそうだ。炭酸ガスに限らず、あらゆるガスが今後さらに我国の「攻めの農業」に貢献すると予想される。
【市場分析】2015年度セパレートガス市場動向
酸素・鉄鋼減産直撃10%減、アルゴン・ステンレス不況で7~8%減
2015年のセパレートガス市場動向は、酸素が1割減で17億㎥台を割り込み、約16億㎥にまで減少したとみられる。窒素は44億5千万㎥と横ばいから微減で推移(オンサイト含まず)、アルゴンは7~8%減と不振で1億9千万㎥を割り込んだ。
分野別のセパレートガス需要動向を見ると、まず素材産業では、鉄鋼不振が酸素需要を直撃した。日本鉄鋼連盟の16年2月の速報によれば粗鋼生産は前年同月比1.0%減、836万t、18ヶ月連続のマイナスとなった。本来、今年は閏年で2月の営業日が1日長い分は増えるのが普通だが逆の結果となった。最早、高炉も電炉も慢性的減産に陥っている。原因は中国など輸出の落ち込みと国内では自動車減産が響いた。
非鉄金属ではステンレス不振で8%減、270万tの低水準にある。愛知製鋼の事故による工場停止も響いた。従ってAOD製鋼向けアルゴンも8%減少した。
化学はエチレン生産プラントの稼働率が約90%を超えるなどプラス要因がある一方で、石油精製プラントの統廃合が進むなどで横ばい基調に進んでいる。ガス需要はパイピング窒素が中心である。
【温暖化対策】日本発の本格的二酸化炭素固定化
「苫小牧CCS大規模実証プロジェクト」4月から海底下の地中層へCO2圧入開始
CO2の分離・回収、輸送、地中貯留技術の事業化調査及び研究開発、実証実験を事業とする日本CCS調査(JCCS)は3月18日、経済産業省からの委託事業である「平成24年度二酸化炭素削減技術実証試験事業」において、北海道苫小牧市真砂町に実証試験プラントを建設、試運転を行ってきた苫小牧CCS実証試験センターの竣工式を行った。
経済産業省は、〝日本初の本格的なCCS実証プロジェクト〟とされる「苫小牧CCS大規模実証プロジェクト」を2012年度から20年度まで実施する予定。同省から委託を受けたJCCSでは15年度にプロジェクトの遂行に必要な分離・回収、圧入設備等の設計・建設・試運転や坑井掘削、モニタリングなどの準備作業を終え、新たに「平成28年度二酸化炭素削減技術実証試験事業」を受託、本格操業と圧入作業を開始している。
実証プロジェクトでは今後、年間10万t以上のCO2を3年間に渡り海底下の貯留層に圧入、貯留し、モニタリングするという。同省は、2020年頃のCCS技術の実用化を目指している。
【市場動向】ボンベ充填の必需品・ワイヤーロープホイスト、高圧ガスユーザー向けは年300台の安定需要
国内出荷台数年1万8千台
15年度のワイヤーロープホイスト国内出荷台数は約1万8千台に達したとみられる。自動車や鉄鋼、化学、食品と、販売先業種は多岐にわたり、新規設備投資に伴う需要はもちろん、リプレイス需要も含めて安定した市場を持つ製品である。
ホイストとは、人手では持ち上げられない重さの荷物を、工場の天井に設けられたクレーンからワイヤーロープまたはチェーンで吊り上げ、運搬する機械のこと。
ボンベなど高重量の荷物を扱う高圧ガス業界では、巻き取るチェーンを本体内に収納できるため小型で機動性に優れるチェーン式よりも、巻き上げ速度が速く大型になるほど過負荷に耐えられるワイヤーロープ式が主流となっている。そして高圧ガス充填所をはじめ、容器製造所やガス関連機器を扱う事業所などガスユーザーに向けて、例年約300台前後の安定需要がある。
ガスレビュー目次
国内市場
17
・ダイヘン、「ダイヘン会」設立総会開催
・コイケ酸商、発足式開催
・巴商会、韓国企業と提携、FCV向けタイプ4容器市場に参入
・大阪ガスリキッド、産業ガス・冷熱関連をコア事業に4月1日スタート
・エア・ウォーター、LPガス仕様可搬式電源をアストモスエネルギーに納入
・日酸TANAKA、関東地区NT会
・2016年有機EL元年となるか
・JIMGA、PIC/S GMP Annex6改訂に伴う、自主基準の改訂作業を完了
・国内初酸素吹きIGCCでCO2分離・回収実証
・ミッシェルジャパン、SF6測定器の英ケンブリッジセンソテックと総代理店契約
時事コラム
23
・WELCON、水素ディスペンサ向け熱交換器の受注を強化
・小池メディカル、CPAP装置新製品レンタル販売開始
・コフロック、レーザー加工機向けの高圧窒素供給システム発売
流通回路
27
・日酸TANAKA、半自動切替装置にSUS仕様追加
・第3回高機能金属展、新日鐵住金、水素関連技術紹介
・JIMGA、高圧ガス事業所の保安向上とコストダウンに繋がる自主保安高度化制度
・東芝燃料電池システム、純水素型燃料電池商用販売開始
・野口商事、自動車・ハウスメーカー向け溶材需要増
・栄幸、東京五輪需要でインフラ向け溶材販売増
・星医療酸器、岩手営業所開設
水素エネルギー
29
・岐阜県初の移動式水素ステーションが開所
・液水サプライチェーンの技術研究組合結成
・岩谷産業、東北地方初の水素ステーション、仙台に建設
・大阪ガス、京都で移動式水素ステーション完工
技術レビュー
31
・東京貿易メカニクス、水素ステーション向けに340N㎥/hのダイアフラム式圧縮機開発
医療ガス関連機器
32
・日本呼吸器学会学術講演会、HOT機器メーカー出展
DATA
33
・世界半導体装置販売額
最新工業ガス関連株式市況
33
ガスレビュー指標
34
・関連機器編
海外市場
35
・リンデ、世界初のFCVカーシェアリング事業今夏始動
HOT ASIA PRESS
35
・韓国SKマテリアルズ、SKエアガスを傘下に
組織人事
35
・ハネウェルジャパン
・大阪ガスリキッド
・エア・ウォーター・ゾル
・三井化学
・大丸エナウィン
決算
36
・トリケミカル研究所、増収増益過去最高業績を更新

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