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No.851号
2016.11.01発行
ガスレビュー No.851号(2016年11月01日)

【市場動向】食品トレー封入ガス需要、チルドや真空パック代替で推定38万㎥/年に到達
食品トレーに窒素や炭酸ガス、酸素の混合ガスを封入することで、チルドや真空パックと比べ、風味を損なわず賞味期限を延ばすことが出来るガス封入パック装置「トレーシーラー」の販売が、コンビニやスーパー向け食品で拡大している。
装置一台で1日あたり少なくとも2000パック詰めるため、ガスは47Lのボンベで8㎥/日消費する。
既に130台あまりが普及しているとみられることから、年間消費量は約38万㎥と予測される。
これまで生鮮や加工食品の分野では、消費者からの賞味期限が長く長期保存をしても痛みにくい製品のニーズを受け、チルド処理や真空パックによって鮮度・品質保持が試みられてきたが、チルド処理を行うと解凍時に食品の細胞壁が破れてうまみや栄養素を逃したり、真空パックを施すと食品が包装に密着するため形が崩れたりするといった問題があった。
【トピックス】漂流する東京オリンピックガス溶材特需
ガス供給対応がますます難しくなる
2020年東京オリンピックは開催まで4年を切った。各種施設建設については3年あるかどうかというタイミングである。「リオが終われば一斉に解体・建設工事が始まる」とガス業界は期待していたが、今のところ殆ど起きていないのが実態である。
残念ながら突貫工事は避けられない情勢である。ガス業界からすれば頭が痛いのがガス供給問題である。建設工事に先行する解体工事では主力は大型建機による破断だが、これをもっと細かく切断するには酸素、アセチレン、プロパンなど溶断ガスも必要になってくる。
仮に各種施設の建設工期を2020年春までとすると可能な限り解体工事は短くしなければならない。それから推定すると年末から解体工事ラッシュが起きても不思議ではない。そうなるとアセチレン+酸素の溶断が最も速度が速く適している。特需が起きる可能性は高い。
【水素エネルギー】再生可能エネ由来水素利用の検証
NEDO補助で、全国6カ所で実施
再生可能エネの余剰電力を活用するため、水素による電力貯蔵を盛り込んだ技術開発プログラムが、9月29日、総計6件、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)平成28年度公募事業として採択された。
No850既報の岩谷産業、東芝らが福島で取組む事業も、その一つであるが、いずれも再生可能エネの導入を増やしていく過程で、エネルギーの効率的利用を見据えた将来技術の検証、システム構築のあり方を見定めるものである。再生可能エネから生み出されるCO2フリー水素の付加価値をいかに見いだすかといった点がポイントとなっている。
再生可能エネの導入量が増えれば、系統に安定的に接続できる電力は制限されてしまう。せっかく発電しても使われないまま捨ててしまう電気が増えてしまうわけで、余剰となった電力を一旦、貯めておく仕組みが必要となる。余剰電力で水を電気分解し水素を製造、これを貯めておいて、必要な時に必要な場所で燃料電池やタービンで発電するというのが、水素による電力貯蔵である。電気エネルギーを水素(ガス)に変えるという意味で、POWER TO GAS(パワーツゥガス)ともいわれている。
【地域市場再発見・近畿】“進化”必須の無風地帯『近畿』
停滞する350億円円エアセパガス市場、再認識されるガスディーラーの重要性
近畿工業ガス関連市場を一言で表すのならば、「既視感」という言葉に尽きる。今回改めて近畿ガス企業への取材を行ったが、大きく業績も伸びず、かといって激減したわけでもない、あまりに変化しない市場環境に苦戦する姿が浮き彫りになった。
しかしその様な状況下、変化しない市場に対し、自身を変質させる事で生き抜こうとする密かな胎動が感じられた。ガスビジネスならではの〝環境適応能力〟が、近畿という土地で最も必要とされているのかもしれない。
改めて言う事でも無いが、近畿にはその地域を代表する産業といったものがない。高炉・電炉による鉄鋼をはじめ、建機や造船、液晶パネルが群雄割拠、それらが複雑に絡み合った〝混沌〟が近畿の経済的柔軟なのだが、その川上産業がここ数年で一気に停滞ムードに覆われた。
ガスレビュー目次
MIP・VIP
5
・「IT企業に資本出資、ネットビジネスを学ぶ」豊田昌洋エア・ウォーター会長
水素エネルギー
7
・テクノ高槻、燃料電池向け水素循環ブロワを開発
国内市場
9
・サノヤス造船、国内初、船舶用低圧式LNG燃料供給システム販売
・サイサン、農業・人工炭酸泉・食品洗浄などで炭酸ガスが好調
・アマダホールディングス、創業70周年記念式典開催
・高野山大学フジキン、小川修平記念講座会開催
医療ガス市場
9
・エア・ウォーター、歯科関連用品ネット販売大手と資本業務提携96億円で約40%出資
時事コラム
22
・コフロック、原料空気供給型の窒素PSA,2機種新発売
・エア・ウォーター、日立製超音波診断装置の販売開始
・千代田精機、調整器・配管の新製品3種同時投入
流通回路
23
・東京高圧山崎、記念講演会開催
・江藤酸素、どんと感謝大バザール開催
・農業ワールド2016、大陽日酸ガス&ウェルディングらが出展
・パナソニック溶接システム、「2016溶接機・ロボット新製品発表会&工法展」
・エコテクノ2016開催
・日本エア・リキード、ホンダFCV納車式開催
・大陽日酸、キッズ理科教室開催
速報
24
・地下ケーブル火災の鎮火にドライアイス500kg程度使用
技術レビュー
27
・RITE、11月に研究テーマ決め、研究会始動。無機膜の「革新的環境・エネルギー技術」実用化目指す
DATA
29
・2016年暦年上半期溶接用ロボット国内外出荷台数
最新工業ガス関連株式市況
29
ガスレビュー指標
30
・ガス関連機器編
HOT ASIA PRESS
31
・リンデ、マレーシアジョホール州のペンゲラン石油ガス統合コンプレックス向けASU2基、約170億円投資
海外市場
31
・プラックスエア、M&Aで米国西部の炭酸ガス事業強化
・RECシリコン、第3四半期売上高、対第2四半期比30%の大幅減収見込み
・独エボニック、工業ガス分離膜の生産能力倍増に着手
組織人事
32
・第一開明
・岩谷物流
・パシフィックメディコ、本社移転
訃報
32
・北代耿士日本エア・リキード取締役及びエア・リキード・アジア・パシフィック取締役会長逝去

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