【市場動向】絶好調！半導体製造装置向けガス供給系機器フル操業

供給タイト懸念

半導体製造装置向けガス供給系機器の各メーカーは現在、フル操業状況にある。一部では納期対応が難しい状況まで表れている。この状況は少なくとも来年春までは続くとみられることから、メーカーの売上規模は過去最高に達するとみられる。
　ガス供給系機器需要、絶好調の要因は、世界的に半導体デバイスメーカーの設備投資が積極的に行われ、半導体製造装置メーカーへ発注が相次いでいる。それは、最近、発表された大手半導体製造装置メーカーの決算に表れている。
　東京エレクトロン（TEL）の3月期第2四半期決算説明会でSPE（半導体製造装置）の上期売上高が3270億円、前年同期比10・4％増収したことを発表した。そして第2四半期（7～9月）受注残高が3294億円、同54・9％増とここ数年にない大きな規模となった。好調な市場動向から17年3月期業績予想をSPEだけで売上高7125億円、475億円上方修正して、対前年比16・2％増収とした。

【IoT】エアセパガス製造に応用進むIoT

大陽日酸はオペレーター訓練シミュレーションに、エア・ウォーターは遠隔一括監視にそれぞれ活用

蒸気機関、電力、コンピュータに続く産業革命の旗手として、世の中にある通信機器以外の様々なものをインターネットに接続し活用していく『IoT = Intenet of Things』という言葉を最近耳にする機会が増えたが、工業ガス業界では、エアセパガス製造で応用が始まろうとしている。技術的に、ほぼ成熟したといわれる深冷分離において、IoTは、主に保安サービスの向上、人材育成といったソフト部分での貢献が期待されている。具体的には、大陽日酸では、これまでのプラント稼働で集積した様々なデータをもとに作業員の実践的な教育を行う『教育訓練用ASPシミュレータ』に、エア・ウォーターは、本年4月に開設したプラント遠隔監視センターに活用しようと目論む。各々IoTの利用価値を見定めながら、取り組み始めたところだ。

【国内市場】高圧ガス工業、容器から器具まで管理システム開発

高圧ガス工業（竹内弘幸社長）の情報システム事業本部では、UHF帯利用RFタグによる「一括工具管理システム」を構築した。バーコードのように照準を合わす必要のないRFタグを利用し、工具の紛失を防止するシステムである。作業前に工具箱内の工具に取り付けたRFタグを一括読取り、作業後に再度一括読取りするだけで、工具の不足をアラーム音などで瞬時に知ることができる。
　このシステムは同社独自開発したガス容器用RFタグ利用の容器管理システムで培った技術を応用したものである。スパナやレンチなどの工具にRFタグを取り付け、管理ソフトに直結したUHF帯用PDA端末で読取りを行う。

【水素エネルギー】イタリア、ファーバー製タイプⅡ蓄圧器、国内で初実績

鋼製ライナーに炭素繊維を巻き付けたタイプⅡ蓄圧器が、岩谷産業が仙台市で建設している水素ステーションに採用された。タイプⅡ蓄圧器の採用は、国内で初めてである。この蓄圧器は、イタリアに本社を置くファーバー製。同社の国内販売代理店となるTaira ・Gas and System Engineering（平忠明社長、川崎市）が、国内での特定設備特認を取得、日本へ輸入され現在、蓄圧器への組み上げ作業を行っているところだ。
　蓄圧器とは、水素ステーションにおいて、FCVへ70MPaの高圧水素を差圧充填するため、予め84MPaに昇圧された水素を貯めておく設備のこと。これまで国内の水素ステーションでは、鋼製のタイプⅠ、アルミライナーと炭素繊維の複合容器であるタイプⅢの実績があった。