【市場動向】今秋のタイト化で垣間見えた液化炭酸ガス・ドライアイス供給の構造変化

粗ガス低下で慢性的在庫不足。低純度ソース活用で製造コストアップ

液化炭酸ガス・ドライアイスの需給が今秋極めてタイト化した。10月末からの1か月余り、一部メーカーで販売制限を実施するほどの事態に至った。1ヶ所のトラブルは、その他地域だけでなく、全国に波及し、他のサプライヤーの供給にも影響を及ぼす。業界全体がタイトロープの上を歩む状態となっている。12月に入り危機的段階はひとまず脱したものの、お歳暮・クリスマスを控えドライアイスは繁忙期を迎えるだけに、サプライヤーは、緊張感を崩せずにいる状況となっている。

【海外市場】大陽日酸、豪・スパガス社をM＆Aし、販売拠点を全土に進出

国内シェアを10％に拡大、投資額約250億円

大陽日酸（市原裕史郎社長）は豪州で産業ガス製造販売を行うスパガス社（Supagas Holding、本社:メルボルン近郊、代表者:デブラ・ジェーン・ヒル）を16年末までに買収する。買収額は非公表だが、250億円程度とみられ、子会社のTNSCを通じて全株式取得となる。今回の買収によって大陽日酸の同国における産業ガスのシェア（売上高ベース）は、15年7月に買収したレネゲード社と合わせて10％を占めるとみられる。

【HOT ASIA PRESS】イワタニインダストリアルガスインドネシア、今夏よりASU本格稼動

ローカル企業への液供給強化

岩谷産業は、インドネシアの現地法人イワタニインダストリアルガスインドネシア（IIGI）の充填工場内に建設中だった深冷空気分離装置（ASU）を完成させ、今年6月から本格稼働を始めた。
新設したASUの生産能力は酸素・窒素合わせ4000㎥／h、イタリアのシアード社製のASUを採用している。IIGIはジャカルタ市内から東へ50㎞にあるカラワン工業団地に、酸素・窒素・アルゴン・炭酸ガスなどの充填工場を持っている。敷地内には約1万㎡の空き地があり、その土地にASUを今年初めに完成させた。

【HOT ASIA PRESS】巴商会、滅菌ガス充填会社「トモエマレーシア」設立

新工場オープニングセレモニー開催

巴商会（深尾定男社長）は、11月23日、同社のマレーシア現地法人で、滅菌ガス製造・充填会社の「トモエマレーシア」の新工場を竣工、同工場内でオープニングセレモニーを開催した。同セレモニーには深尾社長をはじめ柏憲二専務、西村長之常務ら同社役員、並びにフジオックス藤本孝雄社長及び両社関係者が多数出席した。また、来賓としてペナン日本国総領事の糸井清氏、マレーシア工業開発庁のアブドゥール・ムクティ・ビン・アブ・バカル氏などの両国要職が招かれるなど、盛大な催しとなった。

【特集・エレクトロニクスガス最前線】「3D半導体プロセスにガス技術はどう対応するか」

半導体産業は新たな進化の時代に入った。高集積化、微細化の限界からNAND型フラッシュメモリは3D（立体構造）へシフトチェンジ、今後、DRAMやロジックについても3D化へ移ると見られている。一方で、CMOSセンサに見られるように、高品位の各種センサの需要が高まり、ドライバーズICをセットとする動きが広がりを見せている。
このことはガスや関連機器にとっても大きな意味を持つ。プロセスの変化により使用されるガス種は増え数量も間違いなく増える。CVDやエッチング、イオン注入など半導体製造装置向けガス関連機器もこれまで以上に量産対応が迫られるからだ。従来の発想を変えなければならないかもしれない。