【レギュレーション】中国環境・危険物規制強化で揺れる特殊材料ガス市場

中国の深刻な公害問題に加えて2015年に起きた天津爆発事故により、環境及び危険物に対する規制が強化されているが、それが思わぬ形で日本まで影響している。
ひとつは弗酸（HF）価格の高騰である。弗酸は蛍石（フッ化カルシウム）から作られ、冷媒用フルオロカーボンやドライエッチング用ガスの出発原料である。蛍石は中国が生産量の6割以上を占めている。
かつては蛍石の輸出を認めていたが、日本メーカーも含めて中国国内で弗酸にしてからでなければ海外持出を認めなくなった。
弗酸は次の化学式で製造される。硫酸と反応して、弗酸と硫酸カルシウムが出来る。
CaF2＋H2SO4→2HF＋CaSO2
硫酸カルシウムは塩であり、水にも溶けにくく危険物ではない。
しかしフッ化カルシウムは硫酸と100％反応するわけではなく未反応の硫酸もでる。強酸の硫酸を中和するには苛性ソーダなどを使わなければならない。
しかし、中小零細の中国の弗酸メーカーは処理コスト負担を嫌がり処理をせず、河川へ放出するケースが多かったようだ。垂れ流しである。

【市場動向】国内に新たなASUエンジニアリング企業誕生

工業用ポンプ大手の日機装、米低温機器メーカーを子会社化
LNG関連機器はじめASUエンジにも注力

工業用ポンプで実績を持つ日機装（本社：東京都渋谷区、甲斐敏彦社長）が、傘下に深冷空気分離装置（ASU）向け機器製造企業を持つ米国低温機器メーカー、クライオジェニック・インダストリーズグループを子会社化したことで、国内に新たなASUエンジニアリング企業が誕生した。
今回の日機装による買収の主目的は、クライオジェニック・インダストリーズグループの持つLNG分野での液化・輸送・再ガス化プロセスでのポンプの販売体制を構築することだが、ASUについても、自社販売網を活かし、アジアでの事業拡大に関心を示している。
日機装は1953年に米国特殊ポンプメーカーの輸入販売店として創業、先進技術を取り入れることでメーカーに転身し、56年には国内初の特殊ポンプ開発に成功した。その後、工業用ポンプの製造で培った流体技術をもとに事業拡大を進め、現在はエネルギー分野向けを中心とした特殊ポンプ・システムを扱うインダストリアル事業、発電所用システムや電子部品製造装置を扱う精密機器事業、航空機部品を扱う航空宇宙事業、透析関連製品を扱うメディカル事業と、様々な分野で事業展開する多角化企業だ。

【プラント動向】エア・ウォーター、岩手にVSU建設/神戸製鋼所加古川向けにオンサイト開始
大陽日酸、JFEサンソセンター倉敷工場開設

エア・ウォーター（豊田昌洋会長）は、16基目となる小型液酸窒素プラント、VSUを岩手県内に設置する。本プラントは北東北地域における同社初の自社製造拠点となる。

大陽日酸（市原裕史郎社長）とJFEスチール（柿木厚司社長）の共同出資でJFEスチール西日本製鉄所倉敷向けにオンサイトガス供給を行うJFEサンソセンター（上原正弘社長）倉敷工場が、10月1日に開設した。