【トップインタビュー】「買収したEU事業は未来のクラウン・ジュエル、投資負担は高い利益率で回収可能」
大陽日酸　市原裕史郎社長CEO

　本誌892号、896号でも既報の通り、独リンデと米プラックスエアの大型合併を、三つの条件付きであるが、欧州委員会（EC）が承認した。その条件の一つが、プラックスの欧州におけるほぼ全てのガス事業を適切な買い手に売却するというもので、7月5日、大陽日酸とプラックスエアの間で売買契約が成立、条件の最大案件をクリアした。巨額投資に成算はあるのか、拍車がかかる国際派企業の事業展望はどうなるのか、大陽日酸の市原裕史郎社長CEOにその胸の内を訊いてみた。

【市場動向】ガス封入パック型トレーシーラー市場

食品メーカーの人手不足対応加速、2年間で約2倍に成長

　ガス封入パックで食品の安全やおいしさを保つトレーシーラーの17年度国内販売台数は約85台で推移したとみられる。本誌No.851（16年11月1日号）で既報した15年度の約30台から、この2年間で約2倍成長したことになる。

【国内市場】続報、北海道胆振東部地震

　去る9月6日の北海道胆振地震は最大震度7の強い揺れと、北海道電力厚真火力発電所が停止、電力需給バランスが崩れ、北海道全域が停電する事態となった。電力供給が途絶えた中で域内の医療用ガス供給及び産業ガスの製造、デリバリーをいかにして行われたのか。道内で寡占的シェアを持つエア・ウォーターの災害対応を時系列とともに追った。

【特集・岩谷産業の中国事業展開】〝為世間需要東西昌盛〟（世の中に必要なものは栄える）

岩谷産業は中国に必要なガスを供給して成長する

　岩谷産業の中国事業展開は「為世間需要東西昌盛〈世の中に必要なものは栄える〉」の言葉に集約化されている。1939年創業者岩谷直治氏は上海に金生開運を設立、ガス・溶材事業を開始した。敗戦によって途切れたが1972年中国友好商社に指定、中国貿易を本格化、1981年中国初の拠点、北京駐在員事務所を設立、以降、主要地域に拠点を展開してきたという長い歴史を持つ。