アブノーマルからニューノーマルに移行する近畿ガス市場

世界中に感染が広がっている新型コロナウイルスは、国内ガスビジネスに対しても多大な負の影響を与えており、中小企業の集合体という柔軟な需要構造を持つ近畿ガス市場でも、その衝撃を吸収し切れず所々に綻びを生じさせた。だが域内ガスメーカー、ディーラーに話を訊くと、先行きにやや不安は残ってはいるものの、その状況にも変化が表れてきている様だ。新たな年度に向けて躍動を続ける近畿ガス市場の今を追った。
　今回のコロナ禍は、近畿ガス市場にも甚大且つ様々な影響を及ぼした。表はＪＩＭＧＡの定期統計からセパレートガスの販売数量を抜粋したものだが、一目見て明らかな様に、昨年より大幅に落ち込んだ。

水電解装置は水素だけでなく酸素の発生装置

再エネ大量導入でグリーン酸素供給可能に

「水素とともに発生する酸素の使い途を探しています」と訴えるのは、水電解水素発生装置の開発を進める某メーカーの担当者だ。ＣＯ２排出削減のため自社工場で使用する電力を供給する自家発の石炭火力代替に再エネ設備導入を進める同社は、再エネの余剰電力を水素の形で貯蔵し構内で活用することを計画している。
　構内に電解設備も有する同社は、水電解水素発生装置の外販も計画、現在開発を進めているところという。

業界横断の海上カーボンリサイクル計画

製鉄所由来CO2を船舶のメタネーション燃料に商船三井ら9社が検討

海運会社ら９社で構成するＣＣＲ研究会船舶カーボンリサイクルＷＧ（ワーキンググループ）は、工場等から排出されるＣＯ２を、メタネーションを経て船舶燃料に充てる検討を始めている。
　脱炭素社会を目指すにあたり、発電所や工場の排ガスに含まれるＣＯ２の貯留・有効活用推進が急務となっている。一方海運業界でも、ＩＭＯ（国際海事機関）が30年には燃費効率08年比40％改善、50年までにＧＨＧ（温室効果ガス）排出量同50％削減という数値目標を掲げており、現在主流の重油より環境負荷の低い燃料に対応する船舶への転換が必須課題である。同ＷＧは双方を解決すべく、商船三井が発起人となって造船会社や鉄鋼会社らとともに立ち上げた。

医療関連機器「高」医療ガス「低」で推移した

新型コロナ禍の中の首都圏医療ガスディーラーの2020年度

新型コロナウイルス感染者数が急増し、年明けには２回目の緊急事態宣言が発出された
２０２０年度下期。昨春から始まった新型コロナ感染拡大は、医療機関を直接的な需要先としている医療ガスディーラーにとって事業への影響が大きい。下期及び年度を通しての状況、さらに4月から始まる来年度をいかに見据えているか。全国でも感染者数が最も多い首都圏の主要医療ガスディーラー、星医療酸器、日本メガケア、小池メディカルの3社に訊いた。