工業ガス業界40年間のアプリケーション推移

　1981年6月に創刊した本誌、ガスレビューは今年創刊40周年を迎えた。この40年間は、日本の工業ガス市場にとっても成長を経て成熟に向かう年月であった。工業ガスは、多様な産業分野に用途を持ち、新たな技術開発の傍らには、必ずガスの姿があった。それ故、ガス利用の歴史を振り返ることは、産業の盛衰を振り返ることに他ならない。そこで、本誌では、40年の節目にあたり工業ガス事業の源であるガスアプリケーションに焦点を当ててみた。1980年からの40年間に現れたガスアプリケーションを通じて工業ガス市場の趨勢を振り返ってみたい。

半導体3D化で変わる国内材料ガス市場

窒化膜向けＮＨ₃、ドーピング向けB₂Ｈ₆大幅増加

　国内半導体材料ガス市場は、3D‐NAND型フラッシュメモリ、立体構造トランジスタ（FINFET）などの需要が好調だ。
　JIMGAの2020年最新統計19種の材料ガスの国内販売実績のうち、横這いと減少を除くと15種で前年同期比を上回り、特に、高純度アンモニア（ＮＨ₃）は4402・1ｔ、53％増となり、2015年3697ｔを超え過去最高水準となった。また、ジボラン（Ｂ₂Ｈ₆）も750㎏、21％増、３年連続でプラス成長、臭化水素は174・2ｔ、26％増でいずれも過去最高実績となった。この他、TEOSは2014年以降、12年連続で伸長、20年925・9ｔ、14 ％増加、1千ｔ超えも近い。

HySTRA 液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」を公開　今年度中に豪州に向け出航

　技術研究組合CO₂フリー水素サプライチェーン推進機構（HySTRA）が主導する実証事業「未利用褐炭由来水素大規模海上輸送サプライチェーン構築実証事業」において、川崎重工業が開発した実証液化水素運搬船『すいそふろんてぃあ』が、５月24日、神戸空港島に建設された液化水素の荷役実証ターミナル『Hy touch神戸』で報道陣に公開された。同船は６月中にも液化水素積載試験を開始し、今年度中には、約9000㎞離れた豪州に向かう予定である。