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No.967号
2021.09.01発行
ガスレビュー No.967号（2021年09月01日）
エアセパ液市場、コロナ前の水準に戻る
液酸、今期第1Q、19年度同期比で10％近く増加
エアセパレートガスの液市場が、コロナ禍にあっても回復の一途を辿っている。
昨年は新型コロナ感染拡大による製造業の停滞で、5月をボトムに一時的に落ち込んだエアセパガスであるが、主要メーカーへの聞き取りによる今年度第１四半期（4‐6月）の販売量は、コロナ以前の19年度同期比で、液体酸素が9.6％増、液体窒素が3.5％増と共に増加、液体アルゴンは2.5％の減少率まで回復しているとみられる。4月〜6月の3ヶ月間の累計販売量は、本誌推定で７億59百万㎥で、18年に匹敵するレベルとなっている。７月以降の販売量もコロナ前の19年度を上回っているようだ。ちなみに、コロナ禍で最も落ち込みが大きかった20年度第１四半期との比較では、液体酸素が約20％増、液体窒素が約14％増、液体アルゴンが約10％増となった。
シリンダー充填所の事業継続策、作業員の安全性強化と省力化に注力
大陽日酸「タブレットによる作業記録システム開発」
エア・ウォーター「地震でのボンベ転倒対策にパレット活用」
年々深刻化する人手不足や、労働環境の改善を目指す〝働き方改革〟への対応が各所で進むなか、作業効率面では成熟しているといわれる産業ガスメーカーの充填所においても、人材を確保し事業を継続していくために、作業員の安全性強化や省力化に向けた新たな取り組みが始まっている。今回の特集では、大陽日酸とエア・ウォーターを例にまとめてみた。
まず大陽日酸では、これまで記録用紙に手書きで行われていた点検など作業の記録を、タブレット端末でデジタルに処理できるようにすることで、データの整理・検索や現場責任者との情報共有にかかる手間などを削減できるシステムを開発、一部導入を開始した。
局方酸素定量法変更で磁気式酸素計に3億円の特需！
日本薬局方18改正でヘンペルから磁気式へ
5年ごとに見直しされる日本薬局方だが、今年6月7日告示の「18改正」で、酸素の定量法がこれまでの銅アンモニア法（ヘンペル式）から磁気式に変更された。これにより医療用酸素の製造工場では、来年の12月31日までに磁気式酸素計を整備する必要がある。業界では150〜200台の需要があるとみており、3億円規模の特需となる模様だ。
日本薬局方とは、医薬品の性状および品質の適正を図るため、厚生労働大臣が定めた規格基準書で、初版は1886（明治19）年６月に公布され、試験技術の進歩と共に改訂が重ねられてきた。
銅アンモニア法とは銅と塩化アンモニウム・アンモニア試液に酸素を吸着する実験のような化学吸着法であり、劇物であるアンモニアの保管、廃液管理や処理が厄介。ガスビュレットなどを作るガラス細工職人は数少なく、繊細なガラス製品の取り扱いには気を遣う。測定技術に熟練度が要求され、定量に個人差が出る、高齢化による継承者不在など数々の問題も浮上し、定量方法として継続するのにふさわしくない、あまりに時代遅れな定量法だった。
目次
市場動向
3
・エアセパ液市場、コロナ前の水準に戻る
検証
5
・シリンダー充填所の事業継続策、作業員の安全性強化と省力化に注力
分析計
7
・局方酸素定量法変更で磁気式酸素計に3億円の特需！
トップインタビュー
11
・「社員の意識改革が浸透、全事業で収益改善」
・エア・ウォーター 豊田喜久夫 会長
国内市場
12
・昭和電工ガスプロダクツ、液炭拠点間輸送にISOコンテナ運用開始
・アドバン理研、小型圧縮機搭載窒素
・PSA SLMシリーズを一新
・ウインテック、ウイルス感染対策を背景にオゾン関連製品が販売好調
ヘリウム動向
14
・「MRIを除けば市況は徐々に回復、当社も19年度並みの出荷量を見込む」
・日本ヘリウム 松山弘文 社長
時事コラム
14
・巴商会、FH2Rのグリーン水素を東京で充填
新社長インタビュー
15
・「ワンチームで事業課題に取り組み企業価値の向上目指す」
・高圧ガス工業 黒木幹也 社長
HOT ASIA PRESS
16
・日本酸素ホールディングス、タイで4基目のASU設置
・エア・ウォーター、印エレンバリー社との合弁解消
海外市場
17
・エア・リキードとリンデ、途上国向け医療用酸素供給の国際的イニシアチブに参画
水素エネルギー
18
・岩谷産業、宮城2ヶ所目の水素ステーション完成
脱炭素への道
19
・「CO₂フリーエネルギーサプライチェーン構築に向けグリーン水素・合成燃料の開発に取り組む」
・ENEOS 塩田智夫 執行役員
・「既存石炭火力のアップサイクルでCO₂フリー水素発電を実現していく」
・電源開発 火力エネルギー部 中村郷平 開発室長
地域市場再発見 九州
21
・混沌を経て夜明けに備える九州工業ガス市場
流通回路
30
・京立商事、フロン処理第一工場の特定不活性
・ガスへの対応設備の整備完了
・野口商事、21年5月期は売上高10％減
・マスコール、食品向けガスのオープンラボ、新春開設へ
・大陽日酸、京滋支店移転
技術レビュー
31
・東京都立大学、二酸化炭素吸収・放出の新技術を発見
DATA
33
・21年6月輸出向けばら積み船契約実績
最新工業ガス関連株式市況
33
ガスレビュー指標
34
・機器編
第1四半期決算
35
・エア・ウォーター
・岩谷産業
・高圧ガス工業
Topics
36
・サイサン小西選手、オリンピック報告会
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