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No.970号
2021.10.15発行
ガスレビュー No.970号(2021年10月15日)

中国粗鋼生産8月13・2%減産
CO₂排出規制や不動産バブル崩壊など重なる要因
中国の国家統計局の発表によれば、21年7月、中国の粗鋼生産量は8670万t、8.4%減産となり、20年4月以来の低水準を記録した。更に、8月は8320万t、13・2%と大幅に落込んだ。3ヶ月連続の減産である。
主な要因は、中国の中央政府によるCO₂排出量抑制策と見られる。中国工業情報部は5月8日、「鉄鋼業生産能力置換実施弁法」(改正版)を発表、6月1日から実施するとした。国家目標である2060年のカーボンニュートラル達成に向けて、CO₂排出制限の重点産業である鉄鋼業の過剰生産能力を一層引き下げることを目指す。
これによって大量のCO₂を排出する高炉製鋼法による新規プロジェクトの場合、生産能力の置換比率(廃棄する生産設備と新規に建設する設備の生産能力の比率)について、大気汚染の深刻な地域では1.5:1、それ以外では1・25:1と定めている。設備の生産能力も各種の炉内容積に応じて同法内に細かく定義している。明確に、カーボンニュートラルな粗鋼生産への移行を国として打ち出したのである。
カーボンニュートラルに向けたエアセパガス事業の変化と課題
グリーン電力調達で製造コストアップは必至
昨年から脱炭素社会実現に向けた取り組みへの検討が加速し始めている。エネルギー消費によって排出されるCO₂を減らしていくこの試みは、全産業に関係し産業ガスも例外ではない。そこで本誌では脱炭素化の産業ガス業界への影響をシミュレーションしてみた。そこから浮かび上がってきたのは、コストアップによるリスクの顕在化である。
カーボンニュートラルと称される脱炭素化とは、CO₂排出量を差し引きゼロの状態に持っていくという事だが、事業活動を続けながら、CO₂排出をゼロに近づけるためには、エネルギーの転換やプロセス変更が必要となる。画期的な技術革新を要する分野も多く、一足飛びに実現できるものではない。先ずは、CO₂排出量を低減させていく低炭素化に取り組みながら、脱炭素につながるイノベーションを待つというスタンスとなる。
事業活動で消費するエネルギーの大半を外部から調達している産業ガス業界では、エネルギー供給先、具体的には電力事業者が対策を講じない限り、抜本的な脱炭素化は難しい。そのことを踏まえた上で、産業ガス事業への脱炭素化の影響を見ていきたい。
LNG燃料船投入に速力を上げる海運業界
大手3社、20年代後半までに40隻あまりを就航予定
船舶燃料を従来の重油から環境負荷の低いLNGへ転換する動きが加速している。21年10月時点で日本郵船、商船三井、川崎汽船の国内海運大手3社が運航するLNG燃料船は6隻だが、今後28年度までに計45隻が就航する見通しである。現在建造が進行中、もしくは今後計画されている船舶のうち8割近い30隻は日本の造船会社が受注しており、低温タンクや溶接用ガス・溶材の需要にも追い風になりそうだ。
LNG燃料船は、重油とLNGの双方を使用できる二元燃料式エンジンを搭載した船舶。LNGはSOxを排出しないことから、20年に強化された外航船の排ガス中のSOx規制への対応策として浮上した。先行して規制が適用された欧州を中心に導入が加速しているが、建造コストの上昇、供給インフラ整備といった課題が障壁となり、日本の海運業界における普及は進んでこなかった。
目次
国内市場
5
・回復にはまだ遠い?!7月で息切れした主要ガス出荷量
トピックス
5
・台湾寄贈の酸素濃縮器はEMGテクノロジー製
国内市場
6
・大阪府、直営する入院待機St2拠点、1ヶ月の時限運用実施
・エア・ウォーターグループ、防災ドローンシステム販売開始
時事コラム
7
・ボールウェーブ、エアロゾル中の新型コロナウイルス捉えるセンサ開発に成功
・大同興業、LPガス容器再検査場向けに2重連式耐圧試験機発売
・ミッシェルジャパン、廉価版静電容量式露点計販売強化
・ANA、ドライアイスに代わる保冷剤を国内線機内サービス用に導入
・輸入ドライアイス、量が減少も価格上昇
検証
9
・カーボンニュートラルに向けたエアセパガス事業の変化と課題
ヘリウム動向
12
・「需要回復基調も海上輸送含めた調達に不透明感」
・岩谷産業 宮垣尚民 執行役員産業ガス本部副本部長
市場動向
13
・コンビニ低迷で停滞感漂うガス封入パック型トレーシーラー市場
水素エネルギー
15
・FC EXPO開催、脱炭素技術に熱い視線注がれる
水素エネルギー
16
・日本板硝子、水素を利用したガラス製造実験成功
・スペースウォーカー、燃料電池ドローン向けタイプ4容器開発で老舗CFRPメーカーと提携
・I Labo、世界初、水素エンジントラック・コンバージョンの開発開始
エネルギー
18
・LNG燃料船投入に速力を上げる海運業界
海外市場
21
・欧州・米国で炭酸ガスタイト化懸念
・米国にヘリウム可採埋蔵量87億㎥
海外市場
21
・エア・リキード、仏ノルマンディの脱炭素プロジェクト推進
・リンデ、2028年までの持続可能性目標について2020年版レポートを発表/米アリゾナ州で半導体向け工業ガスコンプレックス建設
・エアプロダクツ、サウジアラビアのIGCCプロジェクトの資産取得で民間からの資金調達可能に
脱炭素への道
23
・三菱商事、米国で20年後半に年産100万トン規模の燃料アンモニアプラント検討
・會澤高圧コンクリート、光触媒を用いた水素製造システム実用化を目指す
・RITE、「未来社会を支える温暖化対策技術シンポジウム」開催
DATA
25
・溶接ロボット出荷台数
最新工業ガス関連株式市況
25
ガスレビュー指標
26
・ガス編
流通回路
27
・イワサワ、食品部門が鮮度保持を目的にF&Vプロセスセンター立ち上げ
・四国大陽日酸、移動式水素ステーション事業を終了
・大阪府高圧ガス保安大会、10月27日に開催
・東北酸素、紫波営業所開設
決算
27
・高圧ガス工業、第2四半期連結業績予想を上方修正
組織人事
28
・昭和電工グループ、トップ人事
・エア・ウォーター
・岩谷産業

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