半導体市場、あらゆる部材不足でガス関連機器納期長期化

市場急拡大の一方で、コロナ、天候不順がブレーキ役にも

　半導体市場は、製造装置も含め絶好調に推移しているが、「部材不足」という暗い雲が次第に大きさを増している。　
　要因は同時多発的である。本誌で何度も取り上げているように、昨年末に次々に発生した車載用半導体工場事故が半導体不足の引き金になった。続いて、今年春以降、コロナ変異株感染が東南アジアで爆発的に拡大、マレーシア、タイ、インドネシア、そして、それまで感染抑止に成功していたベトナムにも起きた。これがロックダウンによる工場閉鎖や稼働率低下を招き、ワイヤーハーネスやコネクタなど電子部品の供給力が今も低下している。
　更に、原油を筆頭に天然ガスなどエネルギー価格が急騰、電気代や物流費上昇につながっている。ガス供給系機器にとって重要な材料であるステンレス価格も上昇基調にある。世界的な需要拡大が要因とされるが、原料のニッケル、モリブデン価格が高値で推移している。

ヘリウム需給、来年2月までひっ迫が避けられず

海上物流問題にBLM長期停止が重なる

　海上物流の混乱や大手海運業者の効率化、BLMの操業停止など、複層する問題によって、国内のヘリウム需給が急激にひっ迫しそうだ。すでに国内サプライヤーのいくつかは供給制限を実施。液ヘリについては5割の制限をかけているところもある。
　事情通によると、米中間の物流が非常に盛んで、クリスマス商戦が終わるまでは船便の予約が取りにくい状況が続く見通しだが、「その後も中国の春節が待ち構えている。来年二月まで液ヘリはかなり高い確率で不足気味で推移するだろう」と予想している。

商用化見据えたステージに入った岩谷産業の大規模水素サプライチェーン構築

商用化最初のフェーズは年間24㎥の液水を日本へ輸入
№968既報のグリーンイノベーション（GI）基金を原資にした大規模液化水素サプライチェーン実証をはじめ海外からの大量水素調達が、いよいよ実運用を見据えた段階に入ってきており、岩谷産業が取り組んできた水素エネルギー開発も次のステージに入ろうとしている。
　GI基金実証では、サプライチェーン構築に必要な水素運搬船や貯槽、液化設備だけでなく発電所での水素燃焼実証、グリーン水素調達に欠かせない水電解装置開発など、エネルギー水素に関わる需要・供給両面でのテーマが盛り込まれている。