レアガス付属が半導体を止める⁉ロシアのウクライナ侵攻で産業ガスにも影響直撃

レアガス、ヘリウム、CF系ガスなど

　最悪の事態が起きてしまった。2月24日、ロシアがウクライナに侵攻を開始した。事態は日々変化しており、先行きは不透明だ。これは、日本の産業ガスへも様々な影響を与える。
　最も深刻なのは、ウクライナが戦乱に巻き込まれたことで、レアガス回収精製メーカー、アイスブリックからのネオン（Ne）、クリプトン（Kr）、キセノン（Xe）のレアガス供給に見通しがつかなくなっていることだ。最悪の場合、エキシマレーザ向けレアガスが調達できなくなり、日本だけにとどまらず世界の半導体製造ラインが停止せざるを得ない可能性もある。

2022年は「不足」「アロケーション」「値上げ」の1年にカタールと米国ソース、3月は供給不安定の見通し

　ヘリウムの供給が世界的に逼迫している。ヘリウムコンサルタントのフィル・コーンブルース氏は英gasworld に2月26日に掲載されたレポートで、「２０２２年のヘリウム市場は『不足』『アロケーション』『値上げ』の一年になる」とした。
　大型の新ソースとして期待されていたロシアのアムールでは、稼働直後の昨年9月と今年1月に同じ敷地内で発生した事故で稼働を停止している。コーンブルース氏は、「事故に加え、ロシア‐ウクライナ紛争の影響で、年内の再稼働は難しい」と予測する。

大量供給から安定供給重視にシフトする医療ガスビジネス

　年初からのオミクロン株の流行により、国内新規陽性者数は、昨秋の〝第5波〟に続き、再び急上昇する事となった。この〝第6波〟においては、幸いにも重症化率が低い事から、酸素ガスや酸素濃縮器などの急激な需要増は発生していない模様だが、一方で事業者側には、如何にガス・機器供給を滞らせないかという、コロナ禍中の対策としてBCP（事業継続計画）の実施が求められている状況にある。医療ガスビジネスは、第5波到来時の緊急的な大量供給から、安定供給重視型へとシフトしたといえる。